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山頂の城 社員旅行2022 Vol.7

竹田城の石垣には圧倒されたが、しかし、やはり、山城自体が存在していない、というのは少々寂しい。なぜ、日本の山城には城郭がないんだろう、見たことないな、と思い調べてみたところ、こんな記事を見つけた。
https://shirobito.jp/article/1262

そうか、そういうことだったのか、とも思ったけれど、確か安土城は山の上に天守閣が聳えていなかっただろうか?そしてもっと調べてみると、竹田城にも、仮設とは思えないような建造物がしっかり建っていたらしいではないか。小牧山城跡には城まで建っている(コンクリート造だけど)。安土城は、石垣や天守閣、城下町のはしりだ、といわれていたと思うが、しかし、どうして日本では、山城城郭が残ってこなかったのか、ということのほうが、だんだん気になってきてしまった。なぜなら、ヨーロッパには、街を見下ろす小高い丘の上に建つ城郭が多く存在するからだ。

そんなわけで、ドイツ語圏ヨーロッパの事例を紹介していこう。なぜなら、山裾に広がる街区とそれを見下ろす山頂にある城(Burg)とのコンビネーションはやはり圧倒的にかっこいいからだ。

ブルクハウゼン(Burghausen) ドイツ、バイエルン州 
日本では全く名前の知られていない、ブルクハウゼン。ドイツのバイエルン州南に位置し、ミュンヘンから電車で約3時間。ミュンヒKのお気に入りでもある。舌状に飛び出した尾根の頂部約1キロにわたって城があり、「世界一長い城」を謳い文句にしている。山裾の一方にはドナウに流れ込む河が流れ、対岸はオーストリア。

ブルクハウゼン 市街地の後に尾根、尾根に城 ©川合

城中を歩くと次から次へと現れる建物 ©川合

街から城を見上げる ©川合


また、尾根の反対側はかつては蛇行していた河の一部が流れの経路が変わったことにより池になり、現在は遊泳可能な自然プールになっている。

自然プールから城を見上げる  ©川合


ザルツブルグ(Salzburg)オーストリア

ドイツとの国境に近いのでよく訪問した。モーツァルトの生家や暮らした家があることで有名である。街は川と後背の山の絶壁に囲まれた地域に広がっている。絶壁の雰囲気が鎌倉の切り通しを彷彿とさせる。

ザルツブルク遠景 ©川合

街の裏の絶壁と城 ©川合


個人的に好きなのは、多くの路地。後背の尾根に平行な主要街路に垂直に、河側から後背の山に向かって、街区を抜ける多くの路地があるが、この路地の雰囲気がいい感じ。

街の通り ©川合

夜景と城 ©川合


また、教会や修道院も多く、街の山側には多くの広場やコートヤードが点在している。そして、それらから山の上を見上げた時に、城が聳えている。
この城はホーエンザルツブルグ城といい、叙任権闘争で有名な、ハインリッヒ4世とグレゴリウス7世の、いわゆるドイツ皇帝とローマ教皇の争いを契機として建てられたという。この争いは、後のあの歴史的大事件「カノッサの屈辱」へと繋がっていく。

ランズフッド(Landshud) ドイツ、バイエルン州
ミュンヘンから約一時間の小さな街、ランズフッド。この街では歴史的な大事件は特にあるわけではない。が、旧市街と、その背後にある山には山城が聳えている。いわば、「普通」の街と山城のコンビネーションが見られる街だ。

右上に城 ©川合


川と平行に二本の大街路が走り、それらを結び合わせる道が何本もあり、その周辺に街が形成されてきた。世界で一番高いレンガ造の境界の尖塔が聳えるが、その背後に城が建っている。

城から街を見下ろす  ©川合


かの地では地震もないし、組積造文化ということもあり、これらの遺産が残っているのであろうが、うらやましい限りである。
この城の中では、定期的に歴史ツアーが組まれていたり、クリスマスや復活祭などの、キリスト教関係の祭日が近づくと、家族向けのワークショップやイベントが開かれる。ブルグハウゼンでは、確か、クリスマスマーケットが城の中で開催されていたはずだ。

竹田城跡 ©創造舎


ところで、城が残っていないので、建っていない城を心の中に描くことができる、という禅の思想にも似た考えを持っている創造舎、N氏のような意見もあった。個人的には、そこにはない城を心の中で再構築し、それを楽しむほどの豊な感性を持って城跡と対峙しなければいけないとしたら、日本の山城遺構とは、少々厄介な代物であるという感は否めないのである。
だから、というわけではないが、この際だから山城も、学習機能と娯楽性を兼ね備えた施設として再建してほしい、とさえ考えてしまうのは行き過ぎだろうか。